足
出典: 第二感覚研究所II
足(あし)とは、脚という部位のうち、くるぶしから下の部分のことです。ここでは主に、人体における足について記述を行います。
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概要
足は、頭部や手、性器とともに外見的に複雑な構造をもっている部位です。それ故か足を細かい部分に分け(たとえば足の指、足の裏)、それぞれをフェティシズムの対象として愛でることがあるようです。また「足が何で覆われているか」ということも重要な視点です。むきだしの状態の足[1]、靴下や靴など透けないものに全体を覆われた足、タイツやパンティストッキングなど透けたものに全体を覆われた足、サンダルや下駄、ギプス、トレンカなど一部がむきだしになるように覆われた足など好みの多様性はとても高いです。足が生物の一部であることを鑑みれば、嗜好の対象が外見だけに留まらないことも想像ができます。足の動作、仕草、足跡、匂いetc……。中でも「足の匂い」は一般的に嫌悪の対象であることから、フェティシズムの対象として非常に興味深いものです。
足の匂い
「足の匂い」という書き方はおそらくフェティッシュ用語としての表記であり、「足の臭い」という風にスメルの性格をもって記述される方が一般的なのかもしれません。実際、一日中靴を穿きっぱなしにしているビジネスマンにとって足の臭いは天敵であり、帰宅後に家族からバスルームへ直行するように命令されたことがある方もおられるようです。このように一般に嫌われてしまうスメルにも性的魅力を感じてしまう、足の匂いフェチというカテゴリは存在します。足の匂い、というからには洗浄に用いたボディソープや香水の匂いではなく、「臭み」を対象としているはずです。そこで「足は何故臭くなるのか」という方へ興味が移ってきますので、(多くのウェブサイトで説明されていますが)ここで簡単におさらいしておきます。
- 足が汗をかく
- 汗を細菌が有機物に分解する←この有機物が匂いの元
- 有機物の匂いが足に定着する
素足ならば汗は蒸発しますが、靴下やタイツを身につけている場合は汗が発散せずに溜まり(=蒸れる)、それだけ臭い有機物も増加することになります。汗が溜まりやすく匂いやすい箇所として腋の下、性器周辺、足の裏が挙げられますが、ほとんど通気性の無い足の裏が最も臭いはずです。ヒトを全身にわたって覆っている「エクリン腺」という汗腺が足の裏に集中している点も、足の発汗量が如何に多いか、足が如何に臭くなりやすいかを説明していると言えましょう。しかし、足はただ臭いだけではないことが分かっています。
男性の汗の中にはandrostadienoneという信号物質があり、これが女性のムード、性的な興奮、生理的な興奮、脳の活性を変えます。これは、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のクレア・ワイアート氏らによって、The Journal of Neuroscience誌上で2007年2月7日に発表されたことです。分かりやすく言うと、男性の汗にはフェロモンがあるということです[2]。こうした研究結果は、発汗量の多い足の匂いが興味をひく、ということに対してある程度説得力をもたらしたのではないでしょうか。精神分析学者のジークムント・フロイトの「足は男性器の象徴である」という主張はそれほど突飛な解釈ではない、と言えるでしょう。
足跡
人体に関してさまざまな記号化・デフォルメ化が行われてきましたが、足跡や目、心臓はかなり普及した形と言えるでしょう。足跡は衣類の製品にシンボルマークとしてあしらわれているのをよく目にします。これは形を描写するのが容易であるからに他なりません。大きな円の上に、小さな円を五つ。絵心なんて必要ありません。人体に塗料を付着させ紙に押し付けた場合、これほどはっきりとした形がプリントされる部位は多くないでしょう。
長い間着用された靴やサンダルには、こうした明確な形が残ります。単純なシンボルとして描かれる足跡は、ある種の幼稚さを感じさせます。幼稚園や保育園で行われる足型取りを想起する方もおられるでしょう。「そんなものが、こんなところに、こんなにはっきりと……。」黒くこびりついた足跡に、何とも言えない愛おしさを感じてしまうものです。
文学にみられるフェティシズム
足フェティシズムを描いた作家として真っ先に挙がるのは、谷崎潤一郎でしょう。「刺青」や「少年」といった作品には作者の思い入れが反映されたかのように、足に関する詳しい描写が綴られています。
- 『鋭い彼の眼には、人間の足はその顔を同じように複雑な表情を持って映った。その女の足は、彼に取っては貴き肉の宝玉であった。拇指から起って小指に終る繊細な五本の指の整い方、絵の島の海辺で獲れるうすべに色の貝にも劣らぬ爪の色合い、珠のような踵のまる味、清冽な岩の間の水が絶えず足下を洗うかと疑われる皮膚の潤沢。この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった。』(谷崎潤一郎 『刺青・秘密』 新潮社〈新潮文庫〉、1969年、10頁。)
- 『刺青』からの一節。たしかに「対象を細かく分析して描写する」という記述は多くの文学作品で用いられていますが、谷崎の作品における足についての分析はそれ以上の意味があります。「女性が男を食い荒らして肥え太る」と言うのなら「この足こそは~」ではなく「この女は~」で充分だと思います。だいいち「足が生血を吸う」という光景は想像しがたいものであり、著者がどれほど足にこだわっているかが見て取れます。
- 『「人間の足は塩辛い酸っぱい味がするものだ。綺麗な人は、足の指の爪の恰好まで綺麗に出来て居る」こんな事を考えながら私は一生懸命五本の指の股をしゃぶった。』(谷崎潤一郎 『刺青・秘密』 新潮社〈新潮文庫〉、1969年、44頁。)
- 『少年』からの一節。この情景で少年の素足をしゃぶっているのは別の少年ですが、同性愛ではなく飽くまで少年同士のふざけあいというスタンスで描かれています。しかしこの前後にも足で顔や腹を踏む、足で踏み潰した饅頭を食べるといった足に関するエピソードが登場しており、その多くが少年の足であることから、著者は性別とは無関係に「足」というものを愛好していたものと思われます。
雑記
足に関心がある方の需要を考慮し、足に関するいろいろな情報を列挙しておきます。
- リフレクソロジー(または足裏マッサージ)には西洋式と中国式があります。
- 前者では施術前にアロマオイル入りのフットバスに入浴することが多いですが、中国本場では事前に洗浄するような流れになることは少ないようです。
- 足裏に注目が集まる一般的な意味でのフェティシズムの例:仏足石、ビリケンさん
- インド神話に登場するヴィシュヌ神の化身クリシュナは唯一の弱点が足の裏。瞑想中に飛んできた矢が刺さって死ぬ。
