21世紀最初の希望。


おめでとう。

ただただ、おめでとう、おめでとうとつぶやきたくて、仕方がありません。

僕がニコニコ動画で行っている「大隙2008」をご覧頂いた方ならお分かりかもしれません。2007年に発表されたクリプトン・フューチャー・メディアの「VOCALOID2」。その第一弾としてリリースされた「初音ミク」は、瞬く間にDAWソフトとしては異例とも言える売り上げを記録し、一躍「初音ミク」ブームを作り上げました。

「初音ミク」は、さらに大きなうねりとも言うべきムーブメントを生み出します。DAWの普及に伴って、数多くの才能が世に躍り出たのです。それまで「同人音楽」として知られる存在だった彼らに、ついにスポットライトが当たった瞬間でした。

でも、まさか、メジャーデビューする作者が現れるとは。
僕が初音ミクブームの当初に感じていた、率直な感想。それは、いい意味で大きく裏切られます。

LiveTune。

OSTER Project。

そして、…Supercell。

SuperCellがニコニコ動画で頭角をあらわすきっかけとなった曲「メルト」を聴き、僕は感動に震えました。ぶっちゃけます。泣きました。

こんなに豊かなメロディラインと、重厚なアレンジと、そして綿密に作り上げられた世界観を同居させられるほどの才能が、まだ眠っていたとは。驚きでした。そして、僕はさらに驚くことになります。彼らの曲をニコニコ動画のユーザーが競うようにして「歌ってみた」のです。中には、僕が大隙2008でも絶賛した「歌和サクラ」さんもいました。まさしく、「大きなうねり」という表現にふさわしい動きでした。

SuperCellは、僕のそんな感傷をよそに数々の名曲を発表し続けます。「恋は戦争」「ワールド・イズ・マイン」「始めての恋が終わるとき」…。楽曲とアートワークとビジュアルがセットになり、絶妙なまでのシクロニゼーションを発揮していた曲の数々は、僕の涙腺を破壊するに十分すぎました。極めつけは、なんといっても「ブラック★ロックシューター」でしょう。「Halyosy」「ゴム」「歌和サクラ」両人の合唱マッシュアップは反則すぎます。泣くしかないです。

初音ミクという「楽器」が奏でるせつなさと、グレーゾーンという儚い空間を全速力で走りぬけるニコニコユーザーの熱い血潮と、その中に浮かぶ、初音ミクが見せる笑顔。全てが虚構の中に存在しているのに、そこには確かに息遣いがあって、体温があって、命の鼓動がある。

なんと悲しくて、なんと切なくて、そして、なんと感動的なことか。

昨日、オリコンデイリーの結果が公表されました。初日2位。初動売り上げ、実に2万枚超。

すでにニコニコ動画では、5000人ものユーザーがCDを手にしています。すばらしき船出と言うべきでしょう。

アルバムは全曲がリマスタリングはもちろんのこと、緻密なリアレンジが施されています。さらに厚みの増したトラックに、初音ミクの独特な歌声が響き渡ります。DVDには唯一作られていなかった「メルト」のPVも収録。どうやらGONZOが手がけたらしいのですが(未確認です)、まさしく必見です。このPVだけで、僕なら2時間は泣けます。

天下のSonyMusicからリリースされた「SuperCell」は、LiveTune、OSTER Projectと共に日本の音楽界における新しい希望の道を作り上げました。同人音楽からメジャーデビューへ。YMOから初音ミクへ。その道は必ずや、日本のインディーズシーンを明るく照らすものとなるはずです。

右手にキーボードを、左手に著作権の知識を。

そして、この胸に未来を。

本当に、本当におめでとうございます。

これからのご活躍を、影ながら応援しております。

大事なことなので、もう一度言わせてください。

おめでとう!