ウィキペディアに必要なもの


ウィキペディア。

いまやもう何かと「詳しくはウィキ見て~」的な使われ方をするようになりましたねえ。昔はただのボランティアベースの事典制作プロジェクトだったのに。各言う僕も2006年ごろに参加して、まあいろいろあって飽きちゃいました。今は気になったらチョコチョコかくぐらいかしら。

いや、もちろん参加されている方とか、管理されている方の苦難といいますか、苦労というのは見てるだけでヒシヒシと伝わってきますし、もう「お疲れ様です」としか言いようがないんですよ。みんなそれだけ必死。必死に見えてるだけかもしれないけど、それだけ皆さん真剣にやってますよね。でも、ソレを踏まえたうえで僕はやっぱりこう思わざるを得ないのです。

いやー、Mentorシステムを本気に導入しないとダメじゃないだろか。

参加し続ければするほどこの疑問と言うか、なんというか、そんなすっごい違和感を感じずにはいられないのです。
ウィキペディアの方針や雰囲気や流れみたいなものを無視する人がたくさんいます。それは初心者だからとか、クレクレ君だからとか、はなっからウィキペディアを荒らす気でいるとか、理由はいろいろあるんですけど、それにしては日に日にコミュニティの健康度が悪くなってるんです。気がするとかいうレベルではもはやないです。論争がそこらじゅうで起きているというレベルの問題でもないのですね。

根本的に、初心者~初級者を救済するシステムが全くと言ってよいほど機能してないんですよ。
確かに詳細なヘルプもありますし、方針もかなり細かく定められています。普通に考えれば、これらの方針やガイドラインをちゃんと読んで、いきなり編集せずにウィキペディア全体を見渡していけば、そうそう躓くことはないはず。しかし、そういった「編集する前に各種方針群を読みなさい」と初心者を効率的に導くインターフェイスに、そもそもなっていません。
いや、ノートでの挨拶があるじゃん、とかサンドボックスが、とか仰る方もいると思います。でも、冷静になって俯瞰すればわかりますよね。それで解決できていれば、こんなに初心者レベルのトラブルが発生するわけがないし、初心者がいきなり躓いて荒らしに変貌することもないわけです。
理解できなければウィキペディアにこなくてよろしい。と仰る方もいるでしょう。そういう管理者さん多いですね。気持ちは良くわかりますよ。そうでもしないと裁けないですからね。でも、それって根本的な部分が何にも解決しないんです。相手が子供だとか関係ないんです。ウィキペディアがIPでの匿名参加を認めている以上、説明しても説明しても理解できない参加者が、理解できないまま新たに参加を続ける状況は変わらないんですよ。

そのためにノートがあるんじゃないか、って? そういう無理解な参加者を排除するためにブロックがあるだろう、って?
…それが機能しているのなら、今の現状にはなってないと思います。第一、ノートの存在を知らない参加者がどれだけいるか。ノートで注意しても伝わっていない可能性を精査したこと、ありましたっけ?
それに、ブロックが功を奏していないケースが圧倒的に多い(ないわけではありませんし、そういったケースがあることは承知の上であえて書きます)ことからして、ブロックのシステムが機能してないのは自明でしょう。

悲しいことですけど、今はもうそういった利用者側のスキルアップを求める状況下にないのですよ。
一定数、もしかしたら大多数の参加者が、何も考えずにいきなりサイトを利用するんです。そういった「前提をスルーする利用者」が、結果として荒らしに変貌したり、無理解のまま参加を続けてコミュニティを疲れさせています。

これはウィキペディアだけじゃなくて、インターネット全体の問題だけでもない重要な観点。よく「ゆとり」って言いますけど、「ゆとり」で片付けることも出来ない大きな課題です。あれだけ直感的でわかりやすいミクシィやモバゲータウンでさえ起きている現象で、しかもそれは何も子供に限ったことじゃない。いい年した大人が普通にそういったトラブルに遭遇するんです。何も考えずに。

理由は多分、それだけインターネットが身近になった。これに尽きるんだと思います。

企業なら、そういった問題に対処するためにいろいろやるでしょう。サービスの一環ですからね。
ボランティアであるからこその難しさがあることもよくわかりますし、正直こういった無理解な利用者の存在については、僕自身も辟易としています。「もうちょっと読めよ!」って叫びたくなりたいことはいくらだってあります。わかるんですよ。そのジレンマは。

でも、このままじゃウィキペディアは近い将来いつしか疲れきって、破綻すると思います。ある程度の確信を伴って。
だからこそ、僕はあえて問いたい。
今しかないんじゃないのか。Mentorシステム的な仕組みを検討する時期は。

後見人とかじゃないですよ。あれはあくまで付け焼刃にしかならないし、後見人の負担が大きすぎます。
システム自体を変えるほどの根本的な再設計をすべきです。
具体的には、参加者がウィキペディアの方針を理解するためのチュートリアル的仕組みをつくること。そして、それを通過しないと編集が出来ない仕組みにすること。IPにはIPに向けた、アカウント取得者にはそれ専用のチュートリアル。
「だれもが編集できる」と字面で書いてある根本的な精神からは外れます。思いっきり外れるでしょう。でも、既に「(方針を理解し賛同する参加者であれば)誰でも編集できる」という前提がついている現状から大幅には乖離しません。

もちろん、これを実現するには膨大なヒューマンリソースと、大幅なシステム改編が必要になります。
それ以前に、参加者の大多数がウィキペディアの今の雰囲気をどうやら是としている現状では、こういった初心者への配慮は到底理解されないでしょう。
所詮は、ドロップアウトしたウィキブレイク気味+アンサイクロブレイクした参加者の戯言です。

でも、僕は最後に、一縷の望みを託してみようと思います。
遠い将来、この戯言が、ウィキペディアの何かを変えられることを、祈ります。

※この日記は9/11夜に書きました。
※この日記は、インターネット上で発生している全ての荒らし行為を擁護するものではなく、むしろ批判しています。誤解しないように。