真打、登場。


涼宮ハルヒの憂鬱(改めて)の実況モードは「ひとまず終了」しました。これまでの実況モードはタグ「実況」をご覧ください。
ミニミニ速報1:第26話は「ライブアライブ」。主要スタッフがほぼOrdetに移籍した、いわば「神回」。
ミニミニ速報2:MXテレビの「26話最終回騒動」は誤報だった模様。27話の放送がアナウンスされました。

というわけで、ハルヒ実況モードをひとまずお休みしました。早く復活させておくれよ、角川・京アニ!
今回のエントリより普通のブログ形式になります。一更新で一エントリです。

復帰一発目は、やはりこの話題を取り上げようと思います。

そんな訳で、11月19日にビクターさんからCD出します。
内容はバンド系の楽曲中心のボカロCDって感じになる予定です。
でもキャラ絵を使わなかったりポストロック的なアプローチで
行こうと思ってたり、結構硬派な内容になるんじゃないかと思います。
REFLECTION「CD出します」より

クリプトン・フューチャー・メディアが世に問うた新しい楽器「初音ミク」。以前supercellについて熱く語らせていただきました。そのsupercellはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いの大活躍。先月開催された「ミクFES」では堂々とトリを務め、ラストナンバー「メルト」では観客による大合唱が発生してましたね。見てて感動しちゃいました。もちろん泣いたし。すげー。アンタらスゲーよ!

でで、僕はミクFESに関して記したエントリをザーッと呼んでいまして、あの方の名前をすかさず見つけました。見逃すはずもありません。
ミクFESのオープニングで一人DJを勤め上げた人物。
人は、彼をこう呼びます。「FIFAP」こと「Baker」。

初音ミクは、その爆発的なブームと共に様々な才能を世に送り出しました。「OSTER Project」はNHK「ザ・ネットスター」のOPを手がけ、「Livetune」は大手ファッション誌の表4広告に顔を出し、そして「supercell」はアニメ「化物語」のエンディングで華々しいシングルデビューを飾りました。くそう! 「君の知らない物語」反則すぎ! ガゼル(nagi=やなぎなぎ)をボーカルに起用するなんて粋すぎて6時間も泣いちゃったじゃないですか。俺泣きすぎ。

ニコニコ動画で活躍するアーティスト達が華やかな道を進んでいく中、僕はその光溢れる未来に素直に喜びながらも、一点だけひっかかった感覚を覚えていました。あんまり皆さんご存じないかもしれない。ほんの些細な引っ掛かりかもしれない。でも、無視できないひっかかり。それは、

Baker氏がいない、という事実でした。

Baker氏は、ニコニコ動画が船出する以前より同人音楽の分野で活動していたクリエーターさんです。
ニコニコ動画がスタートし、初音ミクが世に出てから、彼は2つの楽曲を発表します。
「Celluloid」と「サウンド」です。

僕は、その楽曲を聴いたとたん、衝撃で打ちのめされました。
一点の曇りもないバックトラック、Baker氏本人が携帯のカメラだけで撮影・編集したPVの完成度の高さ、そして、初音ミクの歌声を最大限に生かした、抜群とも言うべき楽曲のクオリティ。全てが衝撃的でした。
その衝撃はsupercellの登場で再び味わうことになるのですが、それはまた別のお話。僕はすぐに当時ニコニコ動画でやっていた「大隙2007」で彼の動画をマイリストに加え、こう記します。
彼の楽曲が、広く世に出ることを心より願う、と。

しかし、残念ながらそれは叶いませんでした。…いや、正確には「そう思っていました」。
彼は2008年6月、初音ミクを使用した楽曲の公開にピリオドを打つと宣言、ボカロ曲の表舞台から姿を消したのです。

Baker氏が件の宣言を行ったとき、彼に去来した思いは計り知れません。当時はニコニコ動画を運営するドワンゴとクリエーターの間で交わされた着うた配信でトラブルが発生し、クリエーターの与り知らないところでJASRAC登録が行われてしまうなど、初めて初音ミク関連で大きな騒動が発生していた時期でした。彼があの宣言をした大きな理由は公になっていませんが、おそらく、この関連の騒動も理由のひとつだったのではないか、と今になって邪推しています。

彼の楽曲は、なんといっても「透き通って」いました。この一言に尽きると言ってもいいでしょう。

ピュアなアレンジとミクの歌声が奇跡的とも言えるマッチを見せ、極上のサウンドに仕上がっていました。当時、JPOPの判で押したような量産振りに辟易としていた僕にとって、彼の楽曲は清涼剤なんて目じゃない、もはや「癒される」領域に及ぶほど、体中に染みていました。彼の才能がこんな形で世に出ないのは惜しすぎる。彼自身が決めたことであり、それをしがない30代のヘンタイがどうこう言っても何も始まらないのは重々承知してはいますが、それでも「惜しい」という感情は沸くばかりでした。
それから上記のような数々の才能が世に出て行く中で、僕は心の「ひっかかり」として、彼の存在を気にしていたのだと思います。

そんな状況が変わりだしたのは、今年に入ってからでした。
以前より「VOCALOID NIGHT」などに参加していることや、映像制作をベースにした活動を行っていることは伝聞で耳にしていたのですが、今年に入ってから、彼がクラブイベントでDJとして活動していることを耳にするようになったのです。
最初は気にも留めていませんでした。僕自身supercellやLivetuneに気を取られていたことが大きいのですが、所詮、俺の期待なんて第三者の戯言だと思っていましたし。

だから、彼のブログに書かれた報告は、まさに寝耳に水でした。

ちょうど引退(笑)とか言ってから1年ですね。
この一年本当によくボーカロイドのオリジナル曲をまた作って欲しい
というような言葉を頂く事が多く、ありがたい限りでした。
ただ言われる度に、応援してくれる方には申し訳ないと思いつつも
自分が作る意味を感じられなければやる必要はないなと言う結論に達していました。
めんどくさい奴ですね。

何でこんな事を言い出したかと言うと
最近の活動(DJやリミックス、DS-10のライブ、パーティの主催)等により
またオリジナル曲を作る意味を見出せてきたからです。
これにはあと一つ大きな後押しがあって、
まだそれは発表できないですけども今の自分の立場だからこそ
挑戦できる事でもありますので、がんばって作って行こうかなと思ったりしてます。
REFLECTION「今後の動き方について」より

僕は心躍りました。あ、ハルヒ2期で踊りまくってましたけど。
彼がボカロ曲で復活を果たす。それだけでも僕にとっては大ニュースでした。そして、意味深な「挑戦」の告白に僕は「ひょっとしたら、ひょっとするかも」と、淡い期待をも感じていたのです。

そして。今回(正確には8月17日)。彼は素敵なニュースを届けてくれました。
彼は、いよいよビクターでデビューを飾るに至ります。

まだ聞いたことがない方にはぜひ聞いていただきたいです。
supercellとも、Livetuneとも違う、とってもピュアな方向性。彼の素直な感性がダイレクトに曲にフィードバックされています。すでにデビューを果たしている各クリエーターに比べてアクセス数などで及びませんが、彼のクリエイトワークはもっと評価されてしかるべきです。下に紹介しているニコニコ動画のムービーは、代表曲「Celluloid」をBaker氏自身がセルフカバーしたもの。初音ミクの「調教」ぶりはもはや神の領域にあります。必聴である、と言っておきましょう。

去年から今年にかけて、初音ミクはすばらしい才能と楽曲を僕たちに届けてくれました。
何度でも書きます。彼らの歩む道は、必ずや同人音楽、いや、日本のインディーズ音楽シーンにとって光溢れる道になるに違いありません。現に彼らはその道を確実に歩き続けています。メジャーデビュー(+JASRACスルー)という大きな壁はLivetuneやsupercellが豪快に壊してくれました。その他の壁も、きっと誰かが満面の笑顔で壊し続けることでしょう。

さあ、次はBaker氏がその道を踏みしめる番です。
右手にキーボードを、左手に著作権の知識を、そして、この胸に未来を。
この言葉と共に、最大級の祝福をお送りしたいと思います。

おめでとうございます!
11月のリリース、本当に楽しみです!