月夜の光に、見えしヒカリ1

ども~~。遅れました~~~。

いやあ、仕事がパンパンでね。それでさらにトラブルも起きちゃって。もう大変っすよ~。…まあ、全部身から出たサビなんすけどね(笑)。

あ、どれだけ待ちました? あ、そう? お待たせしてすんませんです。
ま、ま、乾杯しましょ。

カンパーイ!

で、何の話で盛り上がってたの?

…あ、そう~。子どもの頃の話かあ。
で、どんな話よ。

…ふーん。そうかそうかあ。いろいろあるもんだねえ。

え?

俺?

別にねえ。たいしたことないっすよ。いや、マジマジ。
そりゃあ俺はフェチですよ?(笑) 10歳でCMに出会って、そこから俺の全身タイツライフが始まって…

え?

その前はどうなのか、って?

ん、まあ、別にいいけど、結構引くよ?(笑)

いいからいいからって言われてもなあ。いい? 引かない?

…あああ、そんな話になってたの…。かなりマジメモードに入ってたのね。

じゃ、行きますよお。俺の子どもの頃の話。

あ、そうだ、知ってる? 「子供」って差別表現らしいよ(笑)…

俺にとって、一番最初の記憶はやけにハッキリしてるんすよ。
4歳。幼稚園入園の日。

幼稚園の門をくぐって、運動場に出たときのキツイ日差しと、
日差しに照らされてキラキラ光るうんてい。
始めて見る、同じ背格好の子供たち。
たぶん、その時の俺は、初めての世界を前にした好奇心と、ワクワク感に溢れていたんじゃないかと思う。とにかく今、俺の記憶に浮かぶのは、キラキラとした日差しだね。

でね。

そこから記憶はだいぶ飛んじゃうんですよ。
ほとんど覚えてないなあ。

覚えてることは…

いじめられてるシーンばっかりっすなあ。

ウンチをもらしたことをはやし立てられてるシーン。
自分だけ工作が出来なくて、周りから野次を飛ばされてるシーン。
周りがグループで帰る中、一人だけとぼとぼ家路につくシーン。

あんまり、思い出したくないっすね。

あ、こんなのも覚えてるな。

当時幼稚園には、たしか「ひまわり」クラス、ってのがあったんすよ。
ひまわりじゃなかったかな。忘れちゃった。

簡単に言うと、情操教育専門のクラス。
幼稚園の中でも、特に教育熱心な親が、高い金を払って小学校1年レベルの教育をするっている感じ。今で言う「お受験特進コース」なーんて、ノリだったんだと思う。

他の園児が帰った後も、幼稚園に残って授業を受けてた。
うーん、はっきり言って理解はしてなかったっすねえ(笑)。
ていうか、どんなことしたかも覚えてないっす。

ただ、実家にいろんな情操教育グッズが置いてあって、それでしこたま遊んでたのは覚えてる。ひらがなが書かれたタイルとか、数字と簡単な足し算が書かれた紙切れとか。
ウチの両親、教育熱心だったからねえ。
それに俺が応え切れなかったのは、今でも悔いとして残ってますね…。
だいぶムダ金、使ったと思う。ウチの親…。

で、そんなクラスにいることをネタにしていじめられてたなあ。
「自慢するんじゃねー」みたいなこと言われてね。

でね、そんないじめに俺はどうしてたかって言ったら、
とりあえずその場で大泣きするのね。
意図的に泣いてたわけじゃないんだよ(笑)。どんな幼稚園児よ、ウソ泣きなんかできませんって(笑)。
で、「ウソ泣きすんな~」っていじめられるんだね。
自分はそんなつもり、さらさらないんだけど。

で、翌日には全部すっかり忘れてるんだよね。
それで同じ失敗して、そこを突かれるとか。その繰り返しだったなあ。

だから、当時はたぶんそんなに気にしてなかったんだろうね。
でも、徐々に気にするようになって、内に内に頭が入っていったんだと思う。
俺が覚えてる限り、小学校中学年くらいまで独り言多かったもんなあ(笑)。
幼稚園の授業中もたぶんガンガン独り言、言ってたと思うよ。
で、それでいじめられて、って感じ。

小学校に行ってもそれは変わらなかったなあ。
俺の泣き虫っぷりが全校に轟いてたらしいから(笑)。
クラスメイトだけならいざ知らず、上の学年の生徒からもいじめられてましたなあ。
それでさらに独り言ですよ。泣き虫で独り言。
しかも、俺その頃から服とか無頓着だったから、キタナイキタナイって言われてたねえ。泣き虫で独り言でキタナイ。
もうフラグ立ちっぱなしなわけ。

このころは、完全に「いじめられっこ」であることを意識してたと思う。
ただ、近所の子供とかはよく「遊ぼうとはしてた」ね。
最終的にはいじめられるんだけど。
空気読めてなかったんだろうね。

卑屈になりましたよ~。
だから、一生懸命勉強して見返そうって思ってたのは確かっすね。
で、100点取ったりすると自慢しちゃってね(笑)。
またイジメられるっつーの(笑)。

「中学受験しよう」って本気で考えたこともあったなあ。
四谷大塚なんて通っちゃってね。問題とか全然わかんねえんだけど(笑)、オヤジと一緒になって必死に解いたりしてたなあ。
今になって思うと、あのときのことは感謝してますね。
オヤジ、めちゃくちゃ俺のこと考えててくれたんだなあ、って。

まあ、その頃ウチが急激に貧乏になっていったのを肌で感じたこともあって、断念しましたけど…。

あ、あとねえ、4年の頃に急に先生に呼び出されてね。
ある書類を渡されたんすよ。
その中身が傑作でね。
肥満児や喘息持ちの児童を更正する施設への転校案内だったのね(笑)。
下田学園、って名前の、静岡県にある区の施設。
俺、そのころメチャクチャ太ってて、今を遥かに越えるデブっぷりだったんすよ。
そりゃあさらにイジメられるよね(笑)。

その書類を見たオヤジが、エラく怒ってねえ。
次の日に、オヤジが学校へ直談判に行ったんすよ。
「ふざけるな! お前の学校は、下田くんだりまで子供を隔離するのか~!」
って。

…そんな顔しないでくれよう(笑)
ほらあ、引くって言ったっしょ?
いやいやいやいや、カワイソウって(笑)。全然カワイソウじゃないから(笑)。

いやね。
今でも時々思い出しては考えるんすけど、この頃のこと、すっげー後悔してる。
あの時、俺がもっとしっかりしてれば、って、今でも頭に思い浮かべますよ。

イジメのことが最近話題になってるでしょう。
それを見るたびに思うんですよ。

…、誤解しないでね。

俺個人のことに限定すれば、だけど。
そりゃあ、イジメる側は当然悪いんだと思うけど、俺に限って言えば、いじめの原因は自分っすね。

たしかに子供だから、わかんないかもしれない。
でも、独り言とか、泣き虫とか、自慢するとか、空気読むとか、努力すればある程度身につくもんだと思うし、少なくとも俺は、その努力をしてなかったっす。
環境がそういう努力を許さなかったのかもしれないけど、最後は自分がするもんだし。
現にこうしてイジメられ続けていることに対して、努力をしなかったことは、自分がよくわかってるから。

もちろん、今起こってるイジメとは質が違うとは思ってます。
最近のイジメは理由がなかったりするからね。それと昔のイジメを比べること自体ナンセンスだとも思う。今のイジメは、多少イジメられる側に原因があるにせよないにせよ、圧倒的にいじめる側が悪いでしょう。

でも、少なくとも俺には当てはまらないですよ。
俺は、イジメられるだけの相応のスキを見せていたし、それを改善しようとしなかったのは間違いないっす。俺が悪いんですよ。

時々、苛まれることがあるですよ。
あの時、俺をいじめていたヤツラに、取り返しのつかないことをしていたんじゃないか、って。
あいつらは、おそらく理由があっていじめていたはずでね。
それなのに、俺をいじめたことで、ある程度人生を誤ったんじゃないか、って思うことがあるんす。
いじめていたヤツラは、みんな不良のレッテルを貼られていたし。

…うん。考えすぎだと思う。俺も(笑)。
でも、こんな思いが俺の頭をよぎるのは事実だし、今でも消えないです。
で、後悔するんですなあ。

それからしばらくして、泣き虫のクセが突然なくなったんです。
4年生の冬辺りじゃなかったかな。

ま、その後も引き続きいじめられましたけどね~。

理由? うーん、今でもよくわかんないっすね。
身長が急激に伸びて、一気にヤセ型の体になったこともあるんだと思いますけど。
…なに? 姿が想像つかないって? なにを~~~~(笑)
俺だってねえ、痩せてた時あるんすよ! まあ、説得力ないですけどね(笑)

でも、推測はつく。
多分、やっと空気が読めてきたんじゃないかと。

それと。やっぱり、あのことはデカかったんだろうね…。

10歳の頃。ハッキリと覚えてますよ。
あのCM。

佐藤製薬の「アセス」ってCM。
白い、フェイスオープンの全身タイツを着た女性が、歯の形にズラーっと並んで、赤いクッションに身をうずめて、クネクネするCM。

え! もうそのエピソードは聞き飽きたって!?(笑)
いいじゃん! 俺の大いなるトラウマなんすから。もう1回話させてよ(笑)。

あのCMを見て、俺はぶっちゃけボッキしたんですよ。
家族とメシを食ってるとき。人知れず、俺は体の異変に気づいてね。

驚きましたよ。
ちょっと知識があったし、その頃からクラスの男子からうすらうすらそのことは聞いてたし、この生理現象が何たるかはおぼろげながら気づいてた、んじゃないかな。

ただ、疑問に思うこともあったのね。

ウチ、両親そろって画家やってるから、ヌードポーズ集なんてそこら中にあるんですよ。デッサン用にって。オヤジの当時の作風が人物画だったから、なおさらね。
小学校3年くらいのころから、ヒマな時にそんなヌードポーズ集を眺めてたんす。

ウハハハハハハハ、ませたガキですよ、全くその通り(笑)。
でもね、なんでかボッキしなかったんですよね…。

理由は想像がつくね。見慣れちゃったんでしょうね。
2階のアトリエに行けば、親父が書くヌード画がゴマンとあったし、少なくとも、ヌードをエロスの対象としては見てなかったですね。

だから、もう、パニックですよ。
おいおいおい、と。俺は、なんでこのCMにボッキしてるのか? って。

訳わかんなかったですね。
で、晩飯もそこそこに俺は自分の部屋にこもって、ベッドに寝そべって考えてたわけです。なんで? って思いばっかり、頭の中を駆け巡っちゃってね。

その後、とりあえず平静を取り戻して、風呂入って、歯磨いて、寝たんです。
そしたらね。

その時見た夢が、すごかったんす。

出てくる人間、全員が、茶色とか、白とか、赤とか、銀とかの全身タイツを着てるんですよ。
それも全員女性。しかも、CMでは開いてた顔が、埋まってたんです。

そんな全身タイツな人たちが、なんでか野球してたり、洞窟を探検してたり、なんか踊ってたり…って絵が延々と続くわけ。
しかも皆、こっち向いてるんですよ。いや、タイツで覆われてるから目は見えませんよ?(笑)。でもその時はわかったんですよね、こっち向いてる!って。

そうしているウチにね、なんかUFOみたいなのが向こうの方からこっちにやってくるんですよ。目の前に着地したな~、って見てたら、ハッチみたいなのが開いて、そこから、銀の全身タイツを着た女性がゆっくりと降りてくるのね。顔の部分はなんか茶巾絞りみたいな模様が書かれてて、当然顔が見えないんです。

最近思い出したんだけど、この風景、どっかで見たなあ~って思っていたら、出元を見つけたのよ(笑)。ずいぶん昔のドラマなんだけど、日テレの「俺はご先祖さま」って覚えてます?

…覚えてる!? おおおおおおおお、さすがトシ食ってるだけあるねえ(笑)。

あのドラマ、マリアンが全身タイツで出て来るんだけど、1シーンだけ、顔の部分が茶巾絞りになってるのを見た石坂浩二がうわああー!って驚いて、気がついたら夢でした、みたいなシーンがあったはずなのよ(笑)。覚えてない? 覚えてない! そうかあ。残念だなああ~~~(笑)

多分、俺の記憶が間違ってなければ、あのドラマの、あのシーンのマリアンの全身タイツ姿だと思うんですよ。
で、そのマリアンが徐々に俺に近づいてくるわけ。ゆっくりと、ゆっくりと。
なんか、スッゴク甘い気分と、ホンワカした感覚の中に、狂気というか、恐怖というか、そんな思いが突き刺さったような感じがして、めちゃくちゃ怖くなって、で、「うわあああ」って叫びながら起きたんです。

そしたら、もう朝でね。

で、俺の股間が、なんかヌルヌルするわけ。

違和感に気づいて、恐る恐るパンツの中をのぞいたら…

夢精ですよ。

慌ててお袋に言いましたよ。「かあちゃん! なんか、変なのが出た! 変なのが出た!」って(笑)。

お袋は、めちゃくちゃ戸惑った顔をしながら、こう言ったんす。

「…大人になればわかるわよ」って。

それからですね…。

泣かなくなったのは…。

続く

Copyright (C) 2007 Hiroaki Ohmori / All right reserved.

脚注:

※ 俺はご先祖さま
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%BA%E3%81%AF%E3%81%94%E5%85%88%E7%A5%96%E3%81%95%E3%81%BE

1981年~1982年に放映されていたドラマです。その頃僕は8歳~9歳。見事なまでのインプリンティングですね…。

alice
このブログ、というか、このサイト全体の管理をしています。 いろいろしています。していますが、そのどれもがバラバラなので、関心がない方は見なくても大丈夫です。 現在六本木でナイトカフェクロウ、というバーの店長をしています。その傍らで、誰かを元気にできるような活動をしている、つもりです。

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