ニコニコ動画の明日はどっちだ


「ニコニコ動画」でMADも削除 ドワンゴが権利者に申し入れ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/02/news093.html

「ニコニコ動画」、削除時に権利者名表示へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/03/news017.html

パロディ封じに対するニコ動のしたたかな戦略 -プログラマーの脳みそ
http://d.hatena.ne.jp/Nagise/20080703/1215016335

ニコニコ動画に二次創作が再び戻る日 -Thirのはてな日記
http://d.hatena.ne.jp/thir/20080703/p1

TORTURE GARDEN JAPAN、ご来場頂きありがとうございました! 厚く御礼申し上げます。

さて。ニコニコさんもいろんな岐路に立たされてきましたが、今回の山はかなりデカイですね。
いろんな論調を読みましたが、誤読が激しいものもあったり、いつもながらに難儀します。上で上げたブログはその中でも洞察力的に優れたエントリです。ぜひご一読を。

いずれ超えなければならなかった山です。MADとはいえ、著作権(著作者人格権)を侵害していることに変わりないわけですから、いずれこういった要請は来たはずで、必然といえば必然。むしろ、よくここまで耐えた(かどうかは知りませんが)なと。
そんなこともあってさして驚きはしませんでしたが、めちゃくちゃ感慨深いですね…。「ついに来たか」と。

間違いなくニコニコユーザさんの一定数はこれで撤退するでしょう。それは誰がどう考えても予測がつくことです。ニコニコを支えていたのはいわゆる「(アニメを中心とした)無断転載」「MAD」「二次創作」と、そこから派生した「一次創作」なわけで、その根本を担っていた3つのうち、2つが削除対象となるわけですから。ニコニコの存亡に関わる!という論調が出るのは当然の帰結です。
プログラマーの脳みそさんが指摘している「したたかな戦略(削除養成者の公開)」も、まあYouTubeでは導入されていますからそんなに珍しいわけでもないわけでして。むしろこれまで公開してなかったことの方が珍しい、という印象があります。ただ、オープンソースを操る側としての気持ちは、よくわかるなあ。

ニコニコ動画がここにきてこういった動きを進めている理由を勝手に考えてみたんですけど、多分、ニコニコ動画は着実に本来あるべき姿というか、当初から想定してきた姿に移行しようとしてるんじゃないかと思うのですね。
ニコニコ動画は、当初から「ニワンゴ」が運営していることを表に出しました。いわば「プロくささ」をはなっから前に出していたわけです。さらに、早いうちからビジネスモデルとしてのニコニコ動画をかなり確信的に喧伝してました。ニコニコ開発者ブログでもギャグにしてたぐらいですから。

ニコニコ動画、なんと!
ビジネス化に成功しました!
…ニコニコ動画開発者ブログ「ビジネス化に成功!」http://blog.nicovideo.jp/2007/02/post_27.phpより

もちろん、2ちゃんねるの文化を巧みに取り込んで(最終的にはひろゆきを前に出してまで)アマチュア臭も同時に漂わせていたのは皆さんもご存知のとおりです。いわば「プロくささ」と「アマチュア臭」を同時に演出していたわけですね。「プロくささ」を前に出しつつも、「アマチュア臭」も同時に出しておいて「嫌儲」だのなんだの言わせない工夫までしている。

こりゃあつまり、はなっから儲けるつもりだったってことです。もちろん、それ自体は全然悪いことじゃないです。企業として当然。そこで「嫌儲」とか言い出す人は異常。死ねばいいのに。←それにしてもこの比喩は使い勝手がよすぎて諸刃の剣ですね。もちろん、罵倒の意図なんてこれっぽっちもありません。

おおっぴらに儲ける以上、そしてドワンゴさんにAVEXの資本が入っている以上、今回のようなコピーライツの諸問題は遅かれ早かれ解決しなくてはならない重要案件です。YouTubeに楯突いて始まったニコニコですからして、YouTubeの二の舞を踏むわけには行きませんからね。だから、今回のような流れは必然といえます。いずれ来ることで、それが今のタイミングで来た、ということでしかないでしょう。

もちろんニコニコだってユーザが離れるのは承知のうえでやってるはずです。それが思い描けないなんてありえません。そうだっだったらあんな宣伝展開はしませんよ。もっと「嫌儲」に擦り寄ることだってできたはずだし、逆にビジネスチックな展開だってできたでしょう。
これまでニコニコが仕掛けた数多くのギミックやシステム構築は、すべてこの事態に帰結していると言ってもいい。それはつまり、今回のような事態、まあかっちょよく言うと「Xデー」が来るまでに、どれだけ人を集めて、どれだけコンテンツを集めて、どれだけ話題性を集めて、どれだけメジャーメントを獲得するかにかかっていたわけです。
どうせXデーが来たらユーザとコンテンツが離れることをわかってるんだから、それを少しでも食い止めるためにはどうしたらいいか。それに対してニコニコが導き出した回答が、例えば他企業とのリレーションシップ構築だったり、公式コンテンツやコラボだったり、ユーザをひきつける数々の機能やサードパーティアプリケーションだったりしたわけです。で、そのXデーがやってくるのが、7月5日。明日ということ。

個人的な感想を勝手に述べるとするなら、「いや。頑張った! よくここまで引っ張った!」という感じです。実際にニコニコの取った方策が正しかったのか否かはこれからわかることですけど、それまで本当に楽しめましたからね。幾多の才能が開花して、ムーブメントも生みだせて、それに呼応するコンテンツホルダーも現れたことは、立派な実績であり成果でしょう。
それは誇っていいと思うし、次のステップに向けての大きな糧になっているはずです。

ニコニコとしては、本当はこれからが本番なのかもしれません。
「転載」と「MAD」が去ったニコニコ動画に、何が残るのか。見た感じ、息吹はあるみたいですね。
未だグレーとして残り続けるであろう「二次創作」あたりに種が眠っているのはまちがいないでしょう。
あとは、そこにどれだけニコニコが水を与え続けられるかにかかりそうです。

じゃ、Xデー前夜ということで、今一番お気に入りのマッシュアップを紹介して、今日は〆。

※ 大隙2008は続けます。Xデー前に削除されていなかったものについては残すつもりです。